コンパクトパイルは、その名の通り裏地に細かいパイル(毛足)を持つニットです。組織自体は昔からあるものですが、太樹繊維は中糸にベア(ポリウレタン)が組み込めるよう編み機を改造。伸縮性を大きく向上させました。ストレッチ性に加え、保温性も高く、防寒用スパッツ素材としてロングセラーを続けるこの素材。前回の「グレースウェット」でフーディを作ったところ、思った以上に心地よい仕上がりとなりました()。今回はその第2弾「暖々大莫小REBOOT」としてお届けします。
「第1弾では表糸に米綿を使用していましたが、今回はカジュアル感を出すためオーガニックノイル(オーガニックコットンを紡績する際にでる落ち綿)に変更しました。糸にあるムラ感が生地を編んだとき、U.S.製のスウェットっぽい表情を生み出すんですよ」と代表の山口さん。
アップデートはもう一点、裏地のアクリルにシャギーを入れ、起毛させるのがコンパクトパイルの特徴ですが、今回はパイルを伸ばすことで、ふわふわ感を向上。これが体温を保持し、さらなる暖々(ぬくぬく)を実現しました。全方向にストレッチが利いていて服全体にハリがあり、デザインがスッキリみえるのも特徴です。
そんな太樹繊維ですが、じつは2022年の9月に会社としての区切りを迎えました。山口さんは、今後も立場を変えて和歌山のニット産業に携わっていかれるそうですが、生地に関しては「今後、まったく同じものは作れないかもしれません」ということなので、この機会に、太樹繊維が生み出した名品を一人でも多くの方に届けられたらと思います。