椿オイルは椿の種から作られます。1000年以上の歴史を持ち、食用、化粧、灯火燃料など幅広く利用されてきました。美容用品として使われることが多いのは、椿オイルの主成分であるオレイン酸トリグリセリドが人間の皮脂にも含まれているから。そのため、肌馴染みがよく、潤いを保持する効果が期待できるそうです。
そんな椿オイルをTシャツに使ったのが「フルオーガニックカメリア」です。豊染工は、ウインス染色機や、熱源に蒸気を用いるタンブラー乾燥といった希少な機械を用い、生地が本来持つ柔らかさを最大限に引き出す加工を得意とします。数多くのニッターや生地メーカーから生地を預り、加工を行う仕事をするなかで、3代目の田中大幹さんは「化学物質を極力使わない方法で、よりソフトにできないか」と考えるようになりました。せっかく厳しい基準をクリアした有機栽培綿を用いても、加工で化学的な薬品を使うと、本当の意味ではオーガニックとは言えない。なぜなら生地に柔らかさを付加する柔軟剤には、多くの場合ケミカルな成分が含まれているからです。それを椿オイルに代えることで、念願であった環境と肌に優しい上質な風合いを今回実現したのです。そこに至るまでには何度も機械の調整やテストを繰り返したことは言うまでもありません。
ソフトな肌あたりと保湿効果が感じられるよう素材はオーガニックコットン100%のパイル地を使用し、パイルのループ長を3.2ミリと長めにすることで、柔らかさに包まれるような仕上がりに。衿ぐりの生地を裏表逆にしたのはデザイナーのアイデア。見た目にも優しさが加わり、まさにフルオーガニックにふさわしい一枚になりました。