インディアンサマーは気候を表す表現で、日本の小春日和とほぼ同じ意味だそう。秋から初冬にかけ、ふと訪れる和やかで暖かい日を何故そう呼ぶようになったのか? 諸説ありますが、個人的に良いなと思ったのは、「神様が冬を前にキセルでタバコを吸い、その煙が暖かな一日を生み出す」というインディアンの言い伝えでした。そういえば、ポケTの胸ポケットはタバコを入れるためのものだったとか。そんな物語を感じさせるのが森下メリヤスの「インディアンサマー」です。
和歌山大莫小3度目の登場となる森下メリヤス。今回は最高ランクのスーピマコットンを原料とした特殊な撚糸を別注し、半世紀以上前に作られたビンテージの編み機で、フライス生地をじっくりと編み上げました。天竺編みが横方向に伸びるのに対して、フライス編みは縦横両方に伸縮性があり、心地良いリラックス感を生み出します。度詰めすることでフラットで美しい表情に仕上がっており、1枚はもちろん、ジャケットの下に着るのも良さそうです。
前回の白T回の「雨上がりコットン」は吊り編み天竺の優しい風合いが大好評でしたが、今作の着心地を損なわない絶妙な肉感もTシャツ好きの心をガッチリ掴むはず。強めのシルケット加工を施すことで、接触冷感も付加し、洗濯にも強い(へたりにくい)。生地自体にハリがあるためシルエットも美しく、ポケTなのに上品な雰囲気が漂います。袖を通せば「インディアンサマー」のような気持ちいい日が過ごせそうな逸品です。